2009年12月10日木曜日

■ワークショップ・開催レポート 2009年10月16日(金)開催・絵具概論・色材の展開図を作成

■ワークショップ・開催レポート
2009年10月16日(金)開催・絵具概論・色材の展開図を作成

ワークショップというのは、実際に何かを作ったり、描いたりしながらさまざまなことを学ぶ体験型の講座のことをいいます。ホルベインでは、絵具のことや色のこと、筆や紙・キャンバスといった画材のことなど、さまざまな製品に関するより深い知識を持っていただく目的で適時ワークショップを開催してまいります。
ワークショップ会場の様子

今回のワークショップでは、18名の方々にご参加をいただき、「絵具は何でできているか」をテーマに、いろいろな色材の成り立ちについて、実際に絵具を作りながら学んでいただきました。講師はホルベイン工業(株)技術部部長小杉弘明が担当し、ホルベイン画材(株)本社ビル3階で開講されました。その様子をご紹介しましょう。
講師はホルベイン工業(株)技術部部長小杉弘明が担当

絵具は、色の素である顔料を、さまざまな種類の糊(メディウム)で練ったものです。植物油で顔料を練れば油絵具になりますし、アクリル樹脂で練ればアクリル絵具になります。アラビアゴムの水溶液で練ると水彩絵具になります。
卵を使ったテンペラ絵具づくり。黄身を崩さぬよう慎重に。

絵具づくりの実習は、卵を使ったテンペラ絵具から始まりました。
まず卵の黄身だけを取り出し、手の上で転がしながら表面のぬめりをとります。黄身の一部をつまんで保存ビンの口まで運び(ここまで黄身を割ってしまう人が多いので、慎重に。特に新鮮な卵を用意しましょう。)、爪楊枝で黄身の底を突いて割り、中身をビンに落とします。これにオイルを加えてよくかき混ぜます。取っておいた白身もよくかき混ぜ、保存ビンに加えてシェイクします。これで卵テンペラのメディウムができあがりました。顔料を少量とり、作った卵テンペラメディウムで練ると、テンペラ絵具のできあがりです。さっそくボードに塗ってみました。まあ、きれい。ほんとに絵具になるのね、とは皆さん共通の感想でした。卵テンペラは、描画後乾くと耐水性になるので、古くから絵具として利用されてきました。名画も数多く描かれています。防腐剤を加えておくと冷蔵庫で1ヶ月くらいは保存できるそうです。
白身をよく混ぜます。

同じボードに油絵具やアクリル絵具、ガッシュ、透明水彩、パステル、オイルパステルなど、同じ顔料から生まれる異なる絵具を塗って、それぞれの発色の違いや、質感の違いを比べてみました。透明水彩と不透明水彩の違いが、アラビアゴムメディウムの濃い薄いによるものだということも、実際に絵具を作って試していただきました。

まるで理科の実験のように楽しい作業がつづきます。


各種絵具の作り方が一目でわかる「色材展開図」に作った絵具を塗って完成です。

こうした体験を通じて、いろいろな絵具が、顔料という共通の素からできていることがよくお分かりいただけたことと思います。まるで理科の実験のようで楽しく、わいわい賑やかに作ったり、塗ったりしていると、あっという間に予定していた3時間が過ぎてしまいました。

今回は参加を見送られた皆様も、次回はぜひご参加ください。